22日 7月 2023
「スペースマガジン」2023年8月号   「葦の髄から」第84回 「汚染水を海へ流すな!」 先﨑千尋  小名浜での集会...
百聞は一見に如かず-福島第一原発を視察(先﨑千尋)/去る7月10日、私は村上達也前東海村長、海野徹前那珂市長ら「脱原発をめざす首長会議」のメンバー13人と東京電力福島第一原発の構内に入り、事故を起こした1号機から4号機を、100mの近距離からわが目で見た。水素爆発やメルトダウンを起こした原発が目の前にある。1号機は特にひどい。建屋の屋根は吹き飛び、上半分の鉄骨がむき出しになり、天井クレーン、燃料クレーンが落下し、折り重なっている。使用済み核燃料は手つかずで、その真下にある。海は建屋のすぐ向こうに見える。カモメがのんびり飛んでいる。土曜日だったので、4000人近く働いているという作業員の姿は少なかった。
最も有効な避難計画は再稼働させないこと(先﨑千尋)/「避難計画は実際には機能しない。絵にかいた餅でしかない。最も有効な避難計画は再稼働させないことだ」。東海第二原発に隣接する那珂市議会の勉強会で桜井勝延前福島県南相馬市長はこう強調した。  同市議会は常設の原子力安全対策委員会を持ち、これまでに原発関係の有識者を呼び、勉強会を開いてきた。また昨年11月には東海第二原発の再稼働に関して市民の声を聴こうと「市民の皆さまの声を聴く会」を開くなどしてきた。今回の勉強会は、議員全員が東京電力福島第一原発に隣接する自治体の首長の体験談を聴こうと開いたもので、16人の議員の他一般市民にも公開した。  桜井氏はまず、10年前の事故当時を振り返り、体験した者でないと分からないことがいっぱいあると話し、「大津波で多くの犠牲者が出、救助のさ中に福島第一原発の爆発が起きた。国や県からは何の情報も届かず、テレビの画面で避難指示が出たことを知った。市民は自分の命を守ることが最優先で、行政の指示通りには動かない。
 表題をいわき市で発行されている「日々の新聞」4月30日号から借用した。同紙はこの号で「汚染水の海洋放出」を特集しており、12頁の紙面のうち実に11頁を使っている。発行者の安竜昌弘さんはいわき市で地方紙の記者をしていたが、そのあり方に疑問を持ち、2003年に「日々の新聞」を創刊した。現在は大越章子記者と2人で紙面を作っている。タブーのない、個の思いが詰まった新聞づくりをしていて、毎号届くのが楽しみだ。紙面の下には「海洋放出反対の理由」、「放射能汚染水で海を汚さないで」など、他の新聞にはほとんど見ることのない意見広告も載っている。
水戸地裁で注目の判決 このところ、原発をめぐって動きがいろいろある。東京電力柏崎刈羽原発は不祥事が続発し、原子力規制委員会が事実上の運転停止命令を出した。同じ東電関係では、政府が福島第一原発の事故による放射性物質の汚染水を海に放出する方針を決めた。茨城県内では、3月28日に「脱原発」を掲げている自民党の秋本真利衆議院議員が水戸市で講演をし、同党の県議が反発、自民党内に波風を立てている。東海村では、同じ3月に原発推進派の勉強会が発足した。  県民にとっては、それよりもっと大きなニュースが3月18日にあった。日本原子力発電(原電)が進めている東海第二原発の安全性に問題があるとして、県内外の住民らが原電に運転の差し止めを求めた訴訟の判決で、前田英子裁判長が「実現可能な避難計画や、実行する体制が整えられているというにはほど遠く、防災体制は極めて不十分」だとして住民の請求を認め、運転を差し止めるように言い渡したのだ。  福島第一原発の事故前には、住民側の運転差し止めを求めた裁判ではほとんどが住民の敗訴に終わっていたが、その後の司法判断を見ると、地裁段階では住民側の要求を認める判断が多く出ている
福島第一原発の汚染水 国は海洋放出の方針(先崎千尋)/ 政府は13日の関係閣僚会議で、東京電力福島第一原発の汚染処理水を、放射性物質の濃度を下げ福島沖で海洋に放出する方針を決めた。政府の計画だと、実際の放出は2年後の見通し。懸念される風評被害は東電が賠償する。全国漁業協同組合連合会(全漁連)は放出に抗議する声明を出し、地元自治体や福島県内の農林漁業関係者などの理解が得られるかは不透明だ。  海洋放出を決めた会議で菅義偉首相は「処分は廃炉を進めるのに避けては通れない課題だ。政府が前面に立って安全性を確保し、風評払拭に向けあらゆる対策を行う」と表明した。福島県には梶山弘志経済産業相が向かい、内堀雅雄知事らに会い、放出への理解と協力を求めた。
東海第二で画期的な判決(先﨑千尋)/  異常気象か世相のせいかどうかわからないが、桜の開花がこれまでになく早かった。いつもだと20日過ぎに咲く近くの公園の八重桜がもう満開。コロナで人が騒いでいても、桜はいつものように見事な花を見せてくれる。  異常というよりは想定外の判決が3月18日に水戸地裁で出た。日本原子力発電(原電)の東海第二原発の安全性に問題があるとして、県内外の住民らが原電に運転差し止めを求めた訴訟の判決で、前田英子裁判長は「実現可能な避難計画や、実行する体制が整えられているには程遠く、防災体制は極めて不十分」として住民の請求を認め、運転を差し止めるよう言い渡した。 これまでの原発運転を巡る裁判では、地震や津波、火山の噴火などへの対策が主な争点だったが、今回の判決は、事故が起きた時、避難などで住民の安全を守れるかに注目した。
「ずさんな東海第二の避難計画」先﨑千尋/ 2月13日夜中の地震にはたまげた。飛び起きてテレビをつけた。東海村は我が家から至近距離。そこにある日本原電東海第二発電所がどうなのかが心配だったから。何事もないことを確認し、また寝た。翌朝のテレビはもっぱらこの地震の模様を伝えていた。福島にある2か所の原発には異常がなかったようだが、高速道路で土砂が崩れたり、東北新幹線が不通になったりし、けが人もかなり出た。大学受験にも影響が出ているようだ。報道では、今回の地震は10年前の東日本大震災の余震だとか。今回は津波が起きなかったので一安心だったが、福島の人たちはさぞ肝を冷やしたのではないかと思っている。10年も経っているのに、余震だとは驚きだ。  その東海村。「毎日新聞」は全国版の1月31日と2月1日付で「東海第二避難所1.8万人不足」「責任曖昧 ずさん算定」という記事を載せている。
【『スペースマガジン』2021年1月号「葦の髄から」第53回】/大飯原発判決と東海第二/先﨑千尋/ 大阪地裁が大飯原発設置許可取り消し/新型コロナウイルスの対応策「勝負の3週間」を巡って国が「完敗」したこと、国会周辺で桜が咲きだしたこと(桜疑惑の再燃)など、取り上げたいことがあるが、今回は福井県にある関西電力大飯原発の再稼働を巡っての大阪地裁判決と、東海第二原発の最近の状況を報告する。  大阪地裁は12月4日、関西電力大飯原発三、四号機の耐震性を巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は違法だという判決を下した。この裁判は、地元福井県や近畿地方の住民らが、同発電所の設置許可を取り消すよう求めていたもので、判決は「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落があり、設置許可は違法」という内容だった。  この判決に対して、原子力規制委の更田委員長はその後の記者会見で「規制委の審査に何ら過誤も欠落もなかった。判断には自信を持っている」と反論し、関電や国側は上告している。
トリチウム汚染水の海洋投棄 先崎千尋(元瓜連町長)/アンダーコントロール  読者の皆さんは「アンダーコントロール」という言葉を忘れてはいないと思う。二〇一三年九月にブラジルのブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、安倍首相は東京への五輪招致演説をした。「福島は統御されている。汚染水は〇・三%の港湾内で完全にブロックされている。東京に悪影響を及ぼすことはない」と言い切ったのだ。英語では「アンダーコントロール」だ。オリンピック委員会のメンバーがそれを本当に信じたのかどうかはわからないが、この時点でも地下水が福島第一原発の敷地内に流れ込み、汚染されて海に流れ出ていた。「アウト·オブ·コントロール(制御不能)」だったのだ。

さらに表示する